春の空 岩に染み入る 猫と亀

池の水面に映し出された空が、ただの岩を天空に浮かぶ石のように魅せる美しくも不可思議な写真が撮れてしまった。

気持ちのいい春空の中お弁当を食べ、さあ公園を出ようというその時だった。
池の岩影に二つのお耳と小亀のセットが見えた。
これまた離れ岩になぜ?!飛びのったにしても戻れるのか、猫さんよ。
こちらからはその全容は見えなかったので、池の裏の草むらに回りこんで撮影した決定的瞬間である。

こんな光景を目にした日には人間走りだしてしまうものだ。

その草むらは、まるで動物界への入口かのように人間である私をお邪魔する感覚にさせる。
そこには、ある種の緊張感とともにひどくリラックスした世界が広がっていた。

尻尾を濡らすリスクをも物ともせず鯉を目で追い、岩にへばりついて休んでいるぶち猫。
一方、ここぞとばかりに甲羅干しをする小亀。
たちまち小亀が池に飛び込むと、身震いをさせ覗きこむぶち。その心意気はいかにして育まれたのか。
観察すればするほど不可思議なその光景に、笑いに笑ったお昼休みであった。

この後、ぶちがどう陸にもどったかは定かではないが、後先考えずに日向のベストポジションを選び、小亀と寄り添う光景は、長閑かでいて力強い老夫婦の姿をみたようだった。

『濡れても乾くよ、春だもの』そんな表情で振り返る猫に『そうだね』と言ってバイバイをした。

本当に春がきた。そして春を大事にするんだよと、亀猫セットは告げにきたのかもしれない。

(文:編集部N)



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