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2023.10.27

障がいを持つ本人の希望を知り共に生きる支援を(2023年10月27日号中区・西区版)

障がいを持つ本人の希望を知り共に生きる支援を(2023年10月27日号中区・西区版)

前方左から正川雄斗さん、山本総来さん

後方左から清水明彦さん、貞末麻哉子さん

貞末麻哉子さんは映画『普通に死ぬ』の監督で去年と今年の7月に上映会を行った

 「みんな違っていいみんな違って当たり前みんなで感じてみよう」9月30日、西区の「生活創造空間にし」で障がいを持つ当事者や支援者から話をうかがい理解を深めることをテーマにフォーラムが開催された。兵庫県西宮市にある重度障がい者の生活拠点の場「青葉園」の取り組みについての共有もあった。

誰もが自分らしく暮らせる地域に

  誰もが暮らしやすいまちづくり・ひとづくりを目指し、映画の上映、障がい当事者発信の研修等を行う「チームにしまる」。昨年、今年の7月の映画上映や第一回目の講演を経て今回再度、障がい当事者を迎える講演を開催した。西区在住の障がい当事者 正川雄斗さん、山本総来さんが車椅子で登壇した。重症心身障がいで体が動かせず、言葉を発することができないため指文字を介助者が読み取り伝える方法での登壇となった。西宮市社会福祉協議会 副理事長の清水明彦さんと映画作家の貞末麻哉子さんの共生についてのディスカッションも行われた。

本人の希望に耳を傾け支援する

  当日は目の動き、視線入力で描いた山本さんのグラフィック作品も紹介された。「筆を動かすより目を動かす方が得意でこのような(グラフィックアートの)表現をしています」と山本さん。視力入力で音楽演奏もする。脳性まひのため歩行を含め体を動かすことがむずかしく、医療的ケアを受けながら生活する。「僕の暮らしはそんなに悪いものでもないということを伝えられたらと思います。僕は障がいがあるおかげで色々な人が家にきてくれます。もっと世の中に出ていくことで社会の一員ということを知ってもらえる活動を続けていきたいと思う。町で見かけたら声をかけてもらえると嬉しい」と指文字で語った。

 正川さんからは「人の力をかりることが多いのですが、こうして人の前で話をさせてもらうことは僕にとってとても嬉しいことです」との言葉があった。

 ケアをする側の注意点として、障がい当事者本人の希望を知り、その希望に基づいて支援することが重要と「青葉園」で活動する清水さんは言う。誰にでも一人一人紡いでいく人生の物語があり、暮らしの中に心温まる瞬間や心が震えるような輝く瞬間があるという。「(清水さんの話を聞いて)自分も生きている意味を感じていいんだと思った。これまでなかなかそういう思いになったことがなかったので、僕はこの機会をもらえてとてもよかったと思います。命の重みはみんな一緒ということを他の人たちに伝えたい」と正川さんは指文字で語った。

 「チームにしまる」はこれまでに人のつながりを描く映画の上映会などを実施してきた。12月9日㈯には同監督による自閉症のフォトグラファーを追った映画「ぼくは写真で世界とつながる」を西区福祉保健活動拠点「フクシア」で上映する。

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