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2026.10.26
違いを超えて、想いをつないだ
第1回 「オレってナイス音楽祭」(2026年10月号中区・西区版)

誰もが楽しめる全員参加の音楽祭
心のバリアフリーを目指す「第1回オレってナイス音楽祭」が9月21日、横浜市健康福祉総合センターで開かれた。じっと座っていられない、声が出る、耳を塞ぐ。障害ゆえの反応があっても「大丈夫」。誰もが音楽を楽しめる場をと、障害者支援団体「ジュンコフラサークル」の小林順子さんが企画。
豊田工業大学学生支援グループ長のひろのぶ先生は、最重度知的障害で自閉症の息子・ジョー君を育てる順子さんを示し、「順子さんを見てかわいそうだと思いますか。すごく幸せそうでしょう」と問いかけた。人との違いを幸せの物差しにしない。それが音楽祭に流れる思いだ。
嵐の中でつながった想い
当日は台風接近で大荒れ。交通機関が止まれば中止という状況だった。2年前から準備してきた順子さんを関係者が支えた。
音響の武藤さんは「僕は車です。何があっても行きます。演者さんも前乗りしている。音楽祭はできる。大丈夫です」と励ました。協賛したジブラルタ生命はチラシを3千枚追加し、計5千枚を特別支援学校などへ配布。当日の運営にも加わった。
荒天にもかかわらず有料席72人、招待席67人が来場。参加できなかった観客からも「これからも続けてください」「次回を楽しみにしています」と欠席メールが10件届いた。順子さんの「大丈夫」に、見ず知らずの人からも想いが返った。
「オレってナイス」と誰もが言える未来へ
ひろのぶ先生は「人と比べ『自分なんてダメだ』と苦しむ若者も少なくない。個性が一番素敵なのに、それに気づけば幸せになれる。『オレってナイス』って、ものすごく自分軸の言葉だと思いませんか」。誰かの評価ではなく、自分を認める。その思いが音楽祭の名にも宿る。
順子さんも乳がんを経験し、幸せを見つめ直した。「あの時、本当に生きたいと思った。生きているだけで奇跡なんだ、息をしているだけで幸せなんだって」。すでにあった〝小さな幸せ〟に気づいた。
音楽祭のラストで順子さんが語った。「私の夢は息子より1秒でも長く生きること。でも本当の夢は、その夢を叶えなくてもいい日が来ること。私が先に亡くなっても、ジョー君を心配しなくても大丈夫な世の中が来ること。それが私の本当の夢なんです」。
嵐の中、誰もが「オレってナイス」と、自分も相手も認め合う。会場には、順子さんの願う未来の姿があった。


